厚生労働省調達のアイソレーションガウンの舞台裏②

国産アイソレーションガウン製造への道

ガウン調達班の方とアポイントを取り、4月24日夕刻経済産業省を訪問した。
どうしても医療現場にガウンが足りない。現在、公の募集はかけていないので限られた業者からしか提案を受けれていないとのことだった。
5月1日、8日、15日、22日、29日にそれぞれ国産でアイソレーションガウンを作った場合に何枚納められるか、それがポイントということだった。

初回納品の5月1日までは6日しかない。29日としても約1か月しかない。
それほど切羽詰まった状況で、政府の現場は混乱していたように思う。そのような中で経済産業省の担当官も思いを込めて解決策を探しているようだった。その熱意に応えるべく、22日・29日納品をターゲットでどれだけ作れるか、まずはシミュレーションを行った。
しかし、工場に上がり予定数を確認するも、各社から来る答えは作ったことがないのでわからないと。1日200枚上げることが出来るという工場もあれば、80枚しか上がらないと思うという工場もあった。何が正しいかわからないまま、腹を決めて報告を上げるしかなかった。しかも、経産省からの要求は1度の納品で1万枚以上ないと受入れることが出来ないとのこと。半分賭けのような気持ちで、納品予定数量を書き上げた。

契約に向けて

4月24日は金曜日。納品予定数量をメールで連絡した。経済産業省の担当官からは週明け早々に契約可否の連絡をするので、準備を進めておいてくださいとの返信があった。この時点で4月24日の23:56。あと4分で日付を超える時間だったが、経済産業省の担当官も帰れる状況ではないと我々の返答を待って頂いていた。

週明けの4月27日。協議をする会議が予定通り出来ないという連絡があり、おそらく夜中になるだろうというメールが届いた。
当時の話題は、女優の岡江久美子さんの死去とアベノマスクの回収問題。コロナ対策班の忙しさは想像を絶する状態だったと思われた。
しかし、5月22日に納品をするには、少なくとも生地の発注を行い、5月中に防水用の膜を生地に貼り合わせるという加工を完了させる必要があった。29日は祝日であるが、工場に無理をお願いしそこでの加工枠を予約させてもらった。
あとは担当官からの連絡を待つのみだった。
しかし、27日も協議が行われることがなく、28日の真夜中に協議が行われると連連絡があった。
翌28日。生地の加工スペースの変更が必要となり、朝より工場との段取りが必要となった。またこの時点でGW中の縫製が絶望的になった。やれることをできるだけやろう。そういったマインドだった。生地工場と縫製工場との調整は夜中まで続き、時計の針は0時を回っていた。終電を逃し、帰りにタクシーに乗った。厚生労働省の窓はまだまだ明かりがついたままだった。

厚生労働省 午前1:30頃の様子

28日13:00。担当官からのメールが届いた。
弊社としては2度目の政府との契約。
担当官とは毎日夜遅くまでやりとりをしてきて、この連絡をもらった時には電話口でお互い涙がこぼれそうになった。経済産業省、厚生労働省の方々は当時アベノマスク問題でメディアからかなり叩かれていた。そのような状況下で、医療現場の皆様のことを考え、寝る時間を削りながら国民のために働く。そういった姿勢に大変感動を覚えた。我々もその思いに少しでも応えたいと思った。
そのお互いの思いのこもった契約だったように思う。

https://climdaikanyama.com/product/kambiente-iso-3/


③に続く




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